紀元前二〇二年。劉邦は楚漢戦争で項羽を破り、前漢の初代皇帝となった。その四年後、新たに都となった長安の長楽宮に、小青胡と張釈という二人の幼い少年が宦官として仕えた。貧しい生まれの二人は宮殿での悲惨な生活のなか、強く惹かれ合う。やがて二人は大后・呂稚に挙用され、新たに築かれた未央宮の後宮に入り愛を深め合う。しかし劉邦の死後、後継者争いが激化するなか、劉邦の息子・劉盈に仕える小青胡と、権力の虜となったの関係が変化していく。それは、待ち受ける悲劇の序章に過ぎなかった―。
図書館にあった!
エグい描写はあったけどおそれていたほどではなくて
文章も易しいしさらっと読み終わった。
年老いた主人公(左)が話を聞きにきた人に自分の一生を聞かせる
っていうパターンで、語りかけ口調の文章だったせいか
まあ過去の思い出話だよっていう前提が必ずあって
それほどがっつりのめりこまされることなく
逆に言えばすごく引き込まれるっていうことがないっていうことだけど
自分にはちょうどよかったかなーって。
宦官ちゃん同士の小青胡と張釈は、美少年同士の慰め愛からの愛憎みたいな感じで
JUNE的っていうか風木的で
いっぽう小青胡と劉盈の関係はイケメンと美少年の主従と平行した恋愛みたいな甘さで
とてもBLBLしてた。
劉盈の描写が本当にBL的イケメンで
こういう一般モノの主君ってなんでか知らないけどどっか「その描写さえなければ」っていう
乙女を冷めさせる外見的欠点描写があるような気がするんだけど
そういうのが一切なくて、穏やかで優しくてイケメンで誠実でイケメンで
小青胡のことすごく大事にしててお布団では情熱的でイケメンだった。
とか書きつつ密林のレビューを見たら「感銘を受けた、素晴らしい」的な感想ばかりで
大変申し訳なく思うのであった。
あと表紙のイラストはあんまりイメージと合っていなかったなあと思った。
パッと絵を見ると、左の小青胡が破滅的で身を持ち崩しそうで
右の張釈は儚げで控えめな印象が漂うじゃない?
でも実際は逆なんだよね。
小青胡のほうが理性的で潔癖で聡明で張釈のほうがヤンデレで野心があって危うい。
でもまあ読み終わってものすごく一生懸命表紙を睨んでいると、
小青胡の表情は切なげなんだなとか張釈の目が死んだ魚みたいなんだなとか思えるので
間違ってるわけではないんだとは思うんだけどパッと見のイメージってやっぱりあるし……。
なにがいけないのか。小青胡の髪の乱れ具合と肩の落ち具合か。
持ち崩す~って感じがするよね。
全体的な印象をレーベルと作家さんであらわすならば、
小JUNEで安曇もかが連載してそうな感じ。
中華だけど水上シンほどドギャーンって目に迫ってくる感じはなくて
あくまでこう、線が細くてあまりはっきりしない感じの。
そして個人的には同じ話をサーモン先生が書いたらもっと色気のある
グッていう耽美小説になったんじゃないかなーって。
うん、中華だけど江森ではなく。
あと、太史令への語りっていう形式って臨場感がなくて残念で
つまりはなんか意味があるんだろうなあとは思ってたけど
最後の二行でぶわって鳥肌が立った。
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