火村先生

2003年4月9日
あら先生おかえりなさい、どちらに行ってらしたの?
「ああ、ちょっと事件があってな」
まったく、帰ってこないなら電話してくださいねって言ったのに。ああもう先生寝るならジャケット脱いで、ほらシャツもですよ。もう、いったいどんな事件だったんですか、こんなにへろへろになって…。密室? アリバイトリック? ダイイングメッセージ? ねえどんな事件だったんですか? ウリも聞きたいわよね? ほら、ニャーンって。
「勘弁してくれ。寝ないでアリスにその話を聞かせてたんだ」
なんだ、じゃあ事件で遅くなったんじゃないんですね? また有栖川さんのところにいらしてたの?
「まったくあいつときたら、しつこくて困るな。これだから推理小説家なんて生き物は…」
…文句おっしゃるくらいなら、行かなければいいじゃありませんか。ふふ、先生がお話したかったんでしょう? コーヒーいれましょうか? え? あらだって熱湯のほうが美味しいですよ。ちゃんと私がふーふーしてあげますわ。…そんな嫌そうな顔なさらないで。猫にするみたいにシッシッてしないでください、もう。そういえば、さきほどその有栖川さんからお電話ありましたのよ。
「アリスから?」
ええ、荷物を送ったらよろしく頼むって。有栖川さんの新刊だそうです。…有栖川さんったら、相変わらず私と話すとき緊張なさってるみたい。どうしてかしら。
「俺が結婚したのがいまだに信じられないそうだ。…なんだこれは?」
つくりかけのビーフシチューです。見えない? だってまだデミグラスソース入れてないですもの。味しませんから食べたら駄目ですよ。…キッチンうろうろして、おなか空いてらっしゃるの? なにかおつくりしますわ、座って。もう先生、脱いだジャケット投げないでください。ネクタイもこっちにくださいね。まあ煙草臭い、少し控えてくださいってあれほど言ってるのに。先生の肺、きっと真っ黒ですよ。最近チョタ(犬)の散歩も全然行ってないでしょう? 今度の日曜は一緒に行きましょうね。
「そうだな」


それでこのひと一体なにがしたいんだと思います?
…春だから。

私、火村先生とイナバ先生は、見ると唐突に愛が燃え上がるんです。
普段も好きなんだけど、「ギャー!」ってなるのは見た(読んだ)とき。
『朱色の研究』2巻発売おめでとう私の愛も盛り上がります的火村ドリでした。
つかこの変なマダムモードやめようよ。

「君と同じだ。めろめろだったさ」
「こんなぐるぐる回る家いるもんか」
二つの名セリフ再びで、めろめろなのは私でした。

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